人の成長支援

  • 依田真門

    人は自ら学ぶ力を備えています。そして誰もが、成長の大いなる可能性を持っています。とはいえ、全ての人が同じ様に成長できるかと言えば、そうではありません。学びは受け身の活動ではなく、自らの周囲にある環境からつかみ取らなければならないもの、すなわち、環境の捉え方や関わり方によって、学ぶ効率も中身も大きく変わってくるからです。

    過去20年間の心理学や認知科学、脳科学の発展は、従来の「知」の概念を大きく変えました。知は習得するものというより、むしろ構築するものであり、認識は情報と出会うことで常に再編されるものへと、概念が大幅に変更されました。そしてその変更は”学習“の方法を変え、学びの環境に変更を求め、私たちの取るべき行動にも大きな転換を迫っています。

    「経験」と「解釈」が学習のキーワードになってきました。経験から学ぶことの意味が、従来にも増して高まってきました。仕事は行為の対象であると同時に学習の種であり、職場は実践の場であるとともに学習の環境となり、そこでの行動が“つかみ取る中身”と直結して、実践の質を決定する時代になっています。

    となると、私たちが従来から馴染んできた考え方、つまり仕事の実践と学習を別物と捉える姿勢も、見直さなければいけなくなってきます。「知」とは、課題に取り組む中で初めて習得できるもの、自ら問題解決してみないことには理解しようがないもの、チャレンジして初めて姿が見えてくるもの、と捉えるべきものだからです。

    ネット検索や生成AIから大量の「知」が常時引き出せる時代とは、自らの実践でしか見えない文脈依存の高い「知」の習得力が逆に重要になる時代です。A社で通用した方法をB社に当てはめるのではなく、A社という前例を基に、B社にどう最適な提案をしていくか。その為に環境にある資源からどう知を収集し、いかに最適な解を導き出すか。その力こそが、混沌の中に解を見つけ出すためのポイントです。

    変化を前提に思考のエンジンを駆動させること。日常になされるすべてのコミュニケーションから、当たり前に学びを進めて行くこと。これらの常態化こそが、自己の成長や仕事のパフォーマンス向上に不可欠になっています。 自らもっと成長したい、人の可能性をもっともっと引き出したい。そんな要望に少しでもお役に立てるようにと、私たちは常に準備しています。