「物語思考」とはどういうものか

  • 本サイト内で紹介しているプログラムの多くは、太古から人類が語り継いできた神話・物語の知恵に学び、その偉大な知的資産に肖ろうとの発想に基づいています。 そして私たちは、人類が長い時間をかけて蓄積してきた莫大な「知」とつながって、様々な課題に対処しようとするこの発想を「物語思考」と呼んでいます。

    依田真門

    「物語思考」のメリットをまとめるなら、人が未だ出会ったことのない世界に入っていく為の智慧と勇気を与えてくれるもの、と言うことができます。いま目の前にある事態に対処したり、明日のチャレンジを充実させたり、これからの人生を切り開いていく上で、人間や組織が備えることが出来る強力な武器と言いうるものです。

    「英雄の旅」はその代表例です。神話学者であるジョセフ・キャンベルは、世界中にある英雄神話や物語に共通のパターン、すなわち「旅立ち」→「試練との出会い」→「学習と重要な気づき」→「大きな勝利」→「帰還」 – を見出し、この構造の中に人間が試練に打ち勝ち、大きく成長していく上での沢山のヒントを見出しました。

    仕事でも人生でも“お先真っ暗”となる事態は起きうるし、多くの人はそこで苦しみを味わう訳ですが、「物語思考」はその事態を「試練との出会い」へと置き換えてNEXTを考える材料にしていきます。「試練」が与えてくれる“学習と気づき”に焦点を当てた、新しい「物語」へと転換していく訳です。「物語思考」は聖者賢人たちの知恵を支えに、こんな形で私たちの思考を開いていきます。

    人の意識は過去から未来へと続く線上にあり、その意味で私たちは、恒常的に“物語的”な世界に生きる動物です。組織で働く人を、機能・役割中心で捉えるモデルが限界にきて、システムにおける人の役割の再構築が迫られています。このような時代に「物語思考」の視点は、多くの組織・個人に重要な示唆と多大な力を授けるものだと、私たちは考えています。